日記・コラム DIARY

鞭の使用制限について

2014年11月12日

 今年になってから、騎手に対する制裁の件数が爆発的に多くなっていることにお気づきでしょうか。急にラフプレーが増えたわけではありません。ほとんどが「鞭の使用について」の制裁なのです。

 ご承知のように、動物愛護についての意識が高い英国では、鞭の使用は回数や用法、連打等について厳しい制約が設けられています。特に、7回までという回数制限についてはジョッキークラブから緩和を求める声があがっているほどです。しかし、お隣のフランスでも8回までと回数制限が設けられ、その他の欧米諸国でも概ねそうした流れになっています。

 その流れをニッポンの競馬にも取り入れるという通達が、昨年末に急に告げられましたが、私たち騎手のルールブックである「日本中央競馬会競馬施行規程」にはいまだに明文化されていません。鞭の使い過ぎの注意を受けることは予期していましたが、そうした状況で制裁が連発されるとは想像していませんでした。

 現状は、鞭の使用制限(日本では10回まで)を超えると、一回目が戒告、二回目が過怠金1万円、三回目が過怠金3万円、四回目以降は過怠金5万円が科せられるという状況。まったく自慢にはなりませんが、ボク自身も先日5万円レベルに達してしまいました。このあとは、年が変わるまで過怠金5万円がずっと続くのだそうです。

 こうした制裁が「欧米に準じた」ものとは思いません。今朝、フランスのブドー騎手から最新情報を仕入れたところによると、フランスでも段階的に過怠金が増加するシステムはあるとのことですが、2か月間ノーペナルティを維持することで過怠金の累進がリセットされるのだそうです。最低でも、このルールは取り入れてほしいところです。

 もうひとつ言えるのは、ニッポンの競馬には欧米にはない「騎手は騎乗馬の全能力を発揮させなければいけない」というルールが存在していることです。例えばゴール前で追う動作をゆるめたと判断された場合、「油断騎乗」として比較にならないほどの厳しい処罰が待っているという現実があることも強調しておきたいのです。欧米においても、鞭の使用制限についてのジャッジは、上位争いをしているときには緩く、そうでない場合には厳しくという運用が現実のものとなっています。そうであれば、ニッポンの競馬のルールにも合致するものなので、是非この点でも欧米なみにしてほしいと切に願うものです。個人的にも、騎手会長としても。